地方創生の目的は、経済的な発展なのか、それとも住民の健康なのか、どちらが幸福なのかということは、会議に参加していると常に問いかけられることです。できることなら両方ともと答えたいところですが、そうもいかないために二者択一を迫られることが多くなっています。
経済と健康の両方を根底として進めていく方法があって、そのことを発言しても、これまでは初めから聞いてもらえないことがありました。そこまでの面倒なことをしなくてもよい、もっと成果が上がることはないのか、という反応の末に発言の遮断です。
その方法というのは住民全員(といっても成人)への歩数計の貸与と記録(歩数と体重)だけです。特別な健康づくりの施策をしなくても、歩数計を装着して歩数を記録するだけで、住民の1日の歩数は増えていきます。同時に体重もグラフにつけて記録すると、右肩下がりで減っていくことが目に見えてモチベーションが高まって、もっと歩くようになります。そして、歩く機会が増えて歩数が増えるだけで、住民の医療費が下がっていきます。その結果として医療費の一部を負担している自治体の財政が楽になっていきます。
それだけでは金が取れないので、自治体に企画を持ち込む人は、イベントや体操教室などを提案するのですが、歩数と体重の記録をつけることをしないと、効果が上がりにくくなります。歩数を記録すると、歩くことでも効果があるのではないか、歩くだけでも良いのではないかということに気づかれてしまうので、効果があることはわかっていて、歩数の記録をつけさせないという提案者も過去にはいました(実は今もいるのですが)。
歩くだけで健康度を高め、医療費を削減した自治体があります。そこは関東にある北陸との県境の町で、高齢化率が非常に高く、特定の利益が上がる産業もないこともあって、何をしても健康度が下がる一方でした。たまたま、そこの出身者が東京にある高齢者の研究施設に所属していて、歩数計の会社とのつながりがあり、ほとんど予算がない状態で歩数計を配布して実験するしかなかったのですが、それが幸いしました。そして、高齢者は1日に8000歩、そのうち20分間は早歩きをすることで健康度が高まり、医療費が削減できることがわかりました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)