あくまでも噂話66「コロナ禍の健康影響のデータが発表されない」

新型コロナウイルス感染症のために外出自粛、運動不足、家にいる時間の長さによる食べすぎ・飲みすぎ、通院機会や健康診断の減少など、健康面では着実に悪い影響を受けています。その結果を知って、低下の度合いが大きければ、それだけ回復させるための活動も強化しなければならないということは、これまでにも主張してきました。それに共感して、一緒に活動しようという人も増えてきました。
ところが、その活動に勢いがついていません。その最大の原因は、実態がわからないことです。
日本人の食事と健康に関する状態は、厚生労働省による「国民健康・栄養調査」で明らかにされてきました。この調査が始まったのは昭和22年(1947年)のことで、当時は「国民栄養の現状」という名称でした。終戦から2年後のことで、まだ食糧難が続いていた時代で、健康づくりといえば、まずは栄養摂取ということを反映しています。
国民栄養調査に変わったのは平成6年(1994年)の調査からで、平成15年(2003年)に現在の「国民健康・栄養調査」となりました。それ以前は栄養の調査であったのが、健康の調査も行われるようになりました。平成元年(1989年)には、国立栄養研究所が国立健康・栄養研究所に改称されていますが、同研究所が国民栄養調査、国民健康・栄養調査のエビデンスを担ってきていました。その影響を受けて、調査の内容と名称を変えるまでには、かなりの時間がかかったということです。
平成11年(1999年)は、国民栄養調査の大きな変換点でした。それは栄養摂取のデータが男女別に発表されることになったからです。平成10年(1998年)までは年齢層別に、男女を合わせた平均で示されていました。そのときから男女別、年齢別の栄養摂取状況がわかるようになり、栄養対策が大きく進むきっかけとなりました。
昭和22年から、ずっと続いていた調査は、令和元年調査が翌年に発表されたのが最後で、令和2年、令和3年の分は発表されていません。これはコロナの影響で調査が中止となったためです。最も知りたい時期に調査が行われていないので、実態がわからず、対策が取りにくいという状況が続いているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)