視覚と聴覚は到着まで0.5秒の差があるということを前回書きました。この差は脳が調整して、声と口の動きが同時に感じるということを説明して、その調整が私はうまくできないので、声が先に聞こえて、口の動きが遅れて見えるということを書きました。
0.5秒の差というのは、意識をしているわけではなくて、無意識のうちに起こっていることです。意識して行っているようでも、実際には無意識のうちに行われていることを示すときにも0.5秒の差が使われます。
ピッチャーが投球を始めてからバッターがバットを振り出す位置に到達するまでの時間は0.5秒とされています。もちろん、ピッチャーの技量や腕力などによって差はあるのですが、速球と言われる速度では0.5秒ほどで届いています。
これに対してバッターはピッチャーが投げてから、コースに合わせてバットを振っているようでも、バットを降り出すのに0.5秒かかっています。ボールが手を離れてからコースを見極めて、バットを振っていたら、キャッチャーミットにボールが収まってからバットが出ることになります。
そのため、バッターはボールのコースと到達時間を予測して、いわば勘でバットを振っているだけだと言われることがあります。しかし、バッターは意識をしてバットを振っているようでも、実は無意識に振らなければ当てることはできないので、バッティングは無意識の行動だということができます。
それでも普通ならボールに当てることはできそうですが、速球で、大きく変化するボールは勘だけでは当てることができません。大谷翔平投手のボールに当てるのは相当に難しいことになるわけですが、それは大谷投手の併殺(ゴロでの2個のアウト)が極端に少ないことを見てもわかります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)