あくまでも噂話8「ビール券のつながり」

政治家への謝礼はパーティー券だという話を前回しましたが、お役人への謝礼となるとお中元やお歳暮くらいしか方法がないのが普通です。その普通のことができなくなることがあって、不祥事があると、それが金銭的なことでなくても手が出しにくいことがあります。
霞が関の本省の一つで、お中元やお歳暮だけでなくて、講演を依頼しても謝礼も交通費も払えない、会合に呼んでもお酒も出せない、コーヒーは良くても菓子をつけることができないという状況になって、困ったことがありました。それは予算取りのときに儀式としてつけるビール券が手に入らなくなってしまったことです。
新規予算では作業をする部署に手間をかけることになるので、その気持ちの意味がビール券となっていました。他のお役所からはビール券が来るのに、一つだけなしというわけにはいかない、かといって自腹を切るという文化はお役人にはありません。そこで出入りをしている人間の中から口の固い者にビール券を集めさせる、という話を事前に聞いていたのですが、それが自分に回ってくるとは思いませんでした。
それまでも業界から集めたビール券を世話になったお役人にお歳暮がわりに渡したことはあったのですが、それなりの枚数を業界を回って集めるとなると、それも本当の事情を話さずに集めるとなると大変なことでした。
以前はお歳暮がわりのビール券は、お役所で渡していたこともあったのですが、それもいけないということで、それなりの役職の方の自宅まで届けたこともあります。宅配便や郵送という方法もあったのですが、記録に残ることであり、金券でもあったので、安全を期する意味で、自分で宅配するという形になりました。
そのおかげで新規予算が取れたかどうかはわかりませんが、これまで余所余所しかったお役所での出迎えが、妙に親しげになったことは覚えています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)