あくまでも噂話9「お願い事の支払い」

「食事をしながら話をしよう」と誘われたら、財布に大金を入れて出かけることは普通はありません。間違っても割り勘以上の支払いはないというのは通常の感覚です。ところが、お役人が相手だと、それも霞が関でのこととなると、話が違ってきます。何か重大なお願い事をしたあとのことであったら、財布をパンパンにして出かけなければ安心ができないところでしょうが、急に言われることがあるので、財布の中にお札がない状態は怖くて仕方がないことです。
東京から岡山に移住して、霞が関の方々とは年に数回しか会わなくなったので、怖がる機会は減ったのですが、東京にいたときには霞が関に近いところに住んでいたこともあって、急な誘いがあったときには、ひと仕事こなしてからと言って、自宅までお金を取りにいった、貯金を下ろしに戻ったということは何回もありました。
中には一緒に昼食を食べて、会計をしないで先に帰るということで支払いをさせる例もありました。お役所の中の幹部だけが利用できるレストランに一緒に入り、金額的に安いのは支払いをお役人がするからであったのに、なぜか請求金額を書いた書面が私の前に置かれるということもありました。
奢られることに慣れている人では、自分が奢ったときのことは日付と金額まで覚えているのに、奢られたこととなるとよく覚えていない人もいます。中には奢ったことは覚えているのに、それ以上に奢られているにも関わらず、奢られた事実を忘れている人もいます。これは個性なのか癖なのか、どちらにしても死ぬまで改まらないことと覚悟して、財布の中身を気にして出かけるようにしないといけないということです。
こちらとしてはお願い事の範疇ではなくて、先方の業務のうちと思っていても、時間を割いてやってあげたのは謝礼が当たり前という感覚なのかもしれません。その感覚はお役所での出来事でなくて、個人的な付き合いであっても変わらなくて、安いセルフサービスの喫茶店で、「支払いは一緒に」と言うので、珍しく奢ってくれるのかと思ったら、先に飲み物を持って席に向かい、一緒に払うのは私だったということも何度か経験しています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)