「住民を大切にする」とか「誰も取り残さない」という自治体の標語は、そのまま職員の心にも刻まれているものと考えるのは普通の感覚で、そのような自治体であることを信じて(願って)お手伝いをしてきました。
大切にするのは住民票がある人だけなのか、と気になることがあり、一応確認をしておこうと思って、「誰も取り残さない」というのは自治体と一緒に仕事をする人も含まれるのか、ということを聞いたことがあります。
そのときに耳にしたのが、タイトルにある「長く付き合ってきた人を大切にする自治体」という言葉で、担当者からは「住民票がない人でも同じ考え」、「できるだけ長く付き合ってほしい」という返答がありました。
公の交付金を得ての3年間の事業活動に、プロポーザルに参加するだけでなく、交付金を獲得するための資料づくり、その交付金を出す側の霞が関のお役人にも人脈を通じて個人的にプッシュするということもして交付金が得られました。
そして、1年目の報告書を提出(自治体を通じてお役所に)した後に、今後の進め方の検討会をするということで呼び出されました。待ち合わせの場所に行くと、自治体のクルマではなく、個人の所有車が待っていて、ハンドルを握っているのは所有者でした。そして、向かった先は役所ではなくて、個人の自宅でした。
検討会というのに、酒席の用意がしてあって、違和感だらけでしたが、「事業に参画した人の接待の場か」と考えて、お付き合いをしました。席を蹴って離れようにも、移動手段がなければ、どうにもならない地方のことで、最寄り駅まで送ってもらうしかないという事情もありました。
お酒が回ってきたところで、自治体の職員から、3年間の事業を見直して、翌年のためのプロポーザルを実施するということに加えて、提示されたプロポーザルの参加条件は私が参加できない内容でした。
私が過去の経験と東京人脈も駆使して提案した内容はそのままで、受注する人が代わるという結果で、そんな自治体だったのかと問うたときに返ってきたのも「長く付き合ってきた人を大切にする自治体」という言葉でした。
それで私は手を引くことになったのですが、内閣府の知人に報告だけはしておきました。翌年は敷いたレールどおりに事業は進んだものの、3年目はコロナの影響で実施できず、結局は計画倒れの状態になってしまったということです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕