そこが知りたい10 コレステロールの悪玉の意味

コレステロールは悪玉と呼ばれることがあることから、身体によくないもの、避けるべきものというイメージが抱かれがちです。悪玉菌コレステロールと呼ばれるものがあるのは事実で、対比されるのは善玉コレステロールと呼ばれているので、ますます悪玉の印象が強くなります。

しかし、コレステロールに善玉も悪玉もありません。コレステロールはコレステロールで、コレステロールそのものに違いはありません。このへんは、もう一つ善玉と悪玉に区別される腸内細菌と似たような扱いがされています。

コレステロールは脂質の一種で、細胞膜の材料、ホルモンや胆汁酸(脂肪を分解)の材料になっています。コレステロールは生命維持のために重要な役割をしているので、肝臓で合成されて血液によって全身に運ばれています。

コレステロールは脂質なので、水成分の血液とは相性が悪くて、水と油の関係で、血液中では固まって流れなくなります。そこで親水性(水と相性がよい状態)のリポタンパク質の形で血液中に放出されます。

リポタンパク質というのは脂質とタンパク質が結合したもので、コレステロールを届ける働きをしています。肝臓からコレステロールを運んでいくのが低比重リポタンパク質(LDL)で、コレステロールを多く積んでいる船のようなものです。これに対して、血液中で余分になったコレステロールを集めて、肝臓まで運んでくるのが高比重リポタンパク質(HDL)です。

低比重リポタンパク質が多くなると血液中のコレステロールが多くなり、動脈硬化のリスクが高まることから悪玉コレステロール、高比重リポタンパク質が多くなると血液中のコレステロールが少なくなって動脈硬化のリスクが抑制されることから善玉コレステロールと呼び名が付けられただけです。

悪玉コレステロールはLDLコレステロールと表現されることがあるのですが、低比重リポタンパク質は「Low Density Lipoprotein」で、LDLと略すのが正式です。LDLコレステロールはLDLに含まれているコレステロールを指しています。

検査数値の記録に書かれているLDL-Cは、LDLのコレステロール(C)のことなのですが、LDLコレステロールの意味合いで使われていることが多くなっています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕