そこが知りたい11 腸内細菌の悪玉の意味

悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールは悪いものではなくて、健康の維持には必要なものであって、多くなりすぎると動脈硬化のリスクが高まるということで、悪者扱いされているということを前回(そこが知りたい10)説明しました。

そして、これに対して善玉コレステロールと呼ばれるHDLコレステロールは、動脈硬化のリスクを低下させると同時に、LDLコレステロールを減らす作用もあるので、多くなりすぎて困るということはありません。

これと同じ関係性にあるのが腸内細菌の善玉菌と悪玉菌です。ということになると、悪玉菌は多くなりすぎると健康維持に悪い結果をもたらすことになっても、腸内に存在していないと困るものということになります。

腸内細菌は腸内に棲息する細菌で、腸内には1000種類、1000兆個を超えるとされています。種類のほうは数えることができても、数は推測数であって、以前は100兆個以上とされてきましたが、研究が進むにつれて増えてきました。

善玉菌も悪玉菌も細菌としてやっていることは同じです。それは栄養源(エサ)を取り入れて、代謝を起こして、代謝によって作る出された老廃物(代謝物)を外部に排出することです。

代謝物が人間の健康にとってプラスとなるものを排出する細菌を善玉菌、マイナスになるものを排出する細菌を悪玉菌と呼んでいるだけです。プラスになる代謝物は酸性で、酸性環境で増殖する善玉菌を増やしやすく、マイナスになる代謝物はアルカリ性で、腸内の酸性度が低下することで悪玉菌が増えやすくなります。

善玉菌と悪玉菌の健康的な割合は「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」とされています。善玉菌は腸内で発酵を進め、悪玉菌は腐敗を進めますが、悪玉菌は肉類などのたんぱく質を分解して排泄処理をする役割があり、動物にとって必要なものです。

悪玉菌が多くなりすぎると、毒素(有害物質)が多く作られるようになり、これが便通を悪くして、腸壁への刺激が強まって腫瘍、がんなどの要因にもなります。

日和見菌は善玉菌が多いときには善玉菌の味方をして、逆に悪玉菌が多いときには悪玉菌の味方をします。7割が腸内環境によって敵にも味方にもなるということで、善玉菌と悪玉菌の形成を一気に逆転させる日和見な存在です。

それだけに、できるだけ善玉菌を増やし、悪玉菌が増えすぎないようにすることが大切です。善玉菌の主な栄養源は糖質、乳製品(乳糖)、食物繊維で、悪玉菌の主な栄養源は動物性たんぱく質、脂肪です。このことがわかると、積極的に食べたほうがよいものと減らしたほうがよいものが見えてきます。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕