そこが知りたい12 高血圧の基準は変わったのか?

日本人は血圧が高めの体質があり、血圧を下げることが健康長寿の重要ポイントとされてきたところがあります。高血圧の基準は、これまでにも何度か変更され、変更のたびに基準が下げられて、早めに治療を始めることが推奨されてきました。

高血圧は血圧が高い状態を指していて、治療が必要な状態になると“高血圧症”と呼ばれます。その高血圧症の基準が変わった、以前とは逆に基準が高められたという話が広まっていて、その真偽が質問される機会が増えました。

そのような質問が出るようになったのは最近のことで、2024年の4月1日に発表された厚生労働省の「特定健診における受診勧奨判定値」の中で、収縮期血圧が160mmHg以上、拡張期血圧が100mmHg以上という数値が示されたことです。

これは基準が緩やかになったわけではなく、「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」で、すぐに医療機関を受診して、治療を始めるように推奨される数値が新たに加わっことによるものです。

従来からの収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上という高血圧の基準が変わったわけではなくて、あくまで特定健診(メタボ健診)での話です。

一般の人の勘違いだけでなく、中には医師でも勘違いしている人がいて、「高血圧の基準が変わった」「国は何を考えているのか」と発言(講演やネットなど)していることもあって、これが混乱を引き起こす要因にもなっています。

高い値が示された人は、生活習慣病を改善する努力をして、それで数値が改善しないなら医療機関を受診するように指導されるのは、収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上であるのは変わりがありません。

このような状況もあって、日本高血圧学会は「特定健診における受診勧奨判定値についての正しい理解を」という通知文で注意を呼びかけています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕