そこが知りたい18 ダイエットで太ってしまう肝臓の働き

大事なものが減っていくと、それを防ごうとして減らさないようにするのは、人間に備わっている生理的な特性で、よく例として取り上げられるのは「体脂肪の減少に対するブレーキ」です。

体脂肪は見た目にも不要と思われがちで、体脂肪が多くなると生活習慣病のリスクが高まり、脂肪細胞から分泌される生理活性物質によって血圧、血糖値、中性脂肪値などが上昇することも知られています。

それだけにダイエットによって体脂肪を減らそうと頑張る人も多いのですが、中性脂肪は重要なエネルギー源であるので、急激に大きく減るようなことになると、それを止めようとして急ブレーキがかかるようになります。

具体的に起こっているのは肝臓の働きで、食事を抜くといったことで摂取エネルギー量が急激に減ると、飢餓状態になったと判断して、肝臓で脂肪酸が盛んに作られ、これが中性脂肪に合成されていきます。

肝臓には脂肪酸合成酵素があって、普段は活性化していないのですが、エネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)が急激に増えたときには脂肪酸合成酵素が活性化します。それとは逆に、エネルギー源が肝臓に入ってこないことでも脂肪酸合成酵素が活性化します。

そのために肝臓に中性脂肪が蓄積する脂肪肝になるだけでなく、合成された中性脂肪が脂肪細胞に蓄積されて、どんどんと太っていくようになります。

このようなことが起こる人の特徴として、筋肉の不足があげられます。筋肉は余分な糖と脂肪を取り込んで、これをエネルギー化する働きがあり、さらに余分な糖を蓄積しておく働きがあります。

筋肉は肝臓に似た働きをしていることと、筋肉が多いと肝臓に負担がかかりにくくなることから、筋肉は“第二の肝臓”とも呼ばれているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕