そこが知りたい23 糖尿病患者は短命なのか

糖尿病は血管の老化を進める大きな要因で、全身に影響を与えるだけに、平均寿命が短いことは以前から言われてきました。これは、ただ言われてきたというレベルではなくて、19か国の151万人を対象にした調査でも明らかにされていることで、30歳で糖尿病の診断を受けた人は平均寿命が14年短くなるという結果が発表されています。

一般に「糖尿病では14年も短命」と言われているのは、この調査結果がもとになっています。日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳であるので、男性なら67歳、女性なら73歳で亡くなるという計算となります。

糖尿病の期間が長くなるほど血管のダメージが高まっていくことから、50歳で糖尿病の診断を受けた人の場合には平均寿命の短縮の度合いは6年との結果が出ています。これで計算すると、男性は75歳、女性は81歳となります。糖尿病の期間が短いほうが平均寿命は長くなるということです。

こういった理論上の平均寿命の違いではなくて、実際の統計調査も行われています。日本糖尿病学会は2011年から2020年までの糖尿病患者の平均寿命(亡くなった年齢の平均)を発表しています。それによると、男性は74.4歳、女性は77.4歳となっています。

理論上の平均年齢と比べると、男性はあまり変わらず、女性は4年ほど短くなっていることになります。

では、糖尿病になると短命になるのは仕方がないことなのかというと、2型糖尿病患者の18万人調査では、ある条件をかなえていると、糖尿病でない人よりも長生きだという結果が得られています。

その条件というのは、食事療法、運動療法を続けながら、治療を続けている場合です。糖尿病の治療は、食事療法を行い、改善結果が得られないときには運動療法も併せて行い、それでも充分な改善がみられなかった場合には医薬品(抗血糖薬)を使用するという、当たり前に行われるべきことです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕