機能性表示食品のメディア報道について、私のような東京を離れた高齢者のジャーナリストに、機能性表示食品の問題点の問い合わせが続いたのは、健康食品の歴史を現場に身を置いたことによってよく知っている人が少なくなってきたことと、健康食品業界への斟酌(しんしゃく)から本当のことを言えない人が多くなってしまったことが関係しているようです。
こういったことは忖度(そんたく)と表現されることがあり、今回の報道でも斟酌のことを忖度という間違った言葉づかいをしている人がいました。これはタレントのMCやコメンテーターだけでなく、正しい日本語表現を学んでいるはずのアナウンサーも同様です。
健康食品は効能効果を述べることができない中で、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品だけは限られた範囲で機能性を表示することが許可されています。その内容は、医薬品的な機能ではなくて、血圧や血糖値の急上昇を抑えるということであって、高血圧症や糖尿病の治療効果ではありません。
その機能性について制限はあっても表示できるようになったのは1991年のことで、特定保健用食品(トクホ)の制度が始まってからです。特定保健用食品は個別許可型といって、販売される食品と同じものを使って試験が行われて、機能性が認められたものです。
2001年には、これに栄養機能食品が加わりました。栄養機能食品はビタミン、ミネラル、脂肪酸の限られたものであって、それが一定量使われていれば、機能があると認められる規格基準型となっています。内容が合致していれば、国の許可も届け出も必要ないという制度です。
2005年には、特定保健用食品に新たに規格基準型が加わり、既存の特定保健用食品のメイン成分と同じものが同じだけ含まれていれば、同じ機能があると認めるという制度が始まりました。
そして、2015年には、機能性表示食品制度が始まり、自社の商品を使った試験の結果や研究論文を根拠として届け出をすることで機能性を表示して販売できることになりました。
この結果、「医薬品 特定保健用食品(個別許可型) 特定保健用食品(規格基準型) 機能性表示食品(届出制) 栄養機能食品(規格基準型) 一般食品」という分類が行われるようになりました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕