紅麹を用いた機能性表示食品の健康被害が相次いで報道されたときに、「紅麹のサプリメント」という表現があり、アナウンサーやコメンテーターが“サプリメント”と言ったり、“健康食品”と言ったりして、機能性表示食品は健康食品なのかサプリメントなのかということを各方面から聞かれました。
「どちらも同じです」と簡単に言えればよいのですが、サプリメントも健康食品も正式には定義がされていなくて、捉える人によって意味合いが違うというのは普通にあることです。患者は健康食品を頭に浮かべて「サプリメントを使ってもよいか」と聞いているのに対して、医師はビタミンやミネラルのことだと思って「サプリメントならよいです」と返答して、後々に相互作用によって健康被害の問題が起こったという例もあります。
「サプリメント」は、アメリカの「ダイエタリー・サプリメント」(Dietary Supplement)を略したもので、栄養補助食品、健康補助食品と訳されることがあります。
Supplementには追加や補助、補足、補充、補完の意味があり、Dietary Supplementは「日常の食生活では不足する栄養成分を補うもの」とされています。
アメリカではサプリメントは1994年に施行されたDSHEA法(栄養補助食品健康教育法:Dietary Supplement Health and Education Act)によって、「ハーブ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の植物由来成分等のいずれかを含む栄養補給のための製品」と定義されています。その形状は、錠剤、カプセル、粉末、液状など、通常の食べ物とは異なる形のものとされています。
食事の量が多い人が代謝を高めてエネルギー消費量を増やすことも、運動をする時間が短いほか、運動強度が足りないために望むような運動の効果が得られない人が、運動効果を高めることもサプリメントに求められています。また、免疫を高めたり、痛みの軽減、血流の促進、活性酸素の消去、生活習慣病の予防といった自分が望む結果を導き出すために、選択的にサプリメントは使われます。
日本では、サプリメントは健康食品、健康補助食品、栄養補助食品とも呼ばれますが、サプリメントは医薬品とは異なって法制化されていないことから法律上の定義もなく、厚生労働省や消費者庁などの通知では「いわゆる健康食品」とされてきました。一般には、健康食品は普通の食品よりも「健康によいと称して販売されている食品」を指しています。
厚生労働省と消費者庁によって保健機能食品の制度が設けられ、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品が一定の範囲で機能性を表示して販売できるようになっていますが、一般には理解されていないことが多く、これが混乱を引き起こす要因の一つにもなっているのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕