そこが知りたい41 なぜ短鎖脂肪酸は身体によいのか

身体によい脂肪酸として短鎖脂肪酸が広く知られるようになっています。

脂肪酸は脂質を構成する成分で、食品に含まれる脂肪の約9割が脂肪酸でできています。脂肪は肉、牛乳、魚、植物油などで違った脂肪に見えるかもしれないのですが、その成分のほとんどは脂肪酸です。

脂肪酸は炭素、水素、酸素が鎖状につながっていて、炭素数は倍数になっています。炭素数によって3種類に分類されていて、6個以下は短鎖脂肪酸、8〜10個は中鎖脂肪酸、12個以上は長鎖脂肪酸とされています。

短鎖脂肪酸は、ビフィズス菌などの腸内細菌が大腸で水溶性食物繊維やオリゴ糖を分解するときに作り出される代謝物質で、炭素の数によって酢酸、プロピオン酸、酪酸に分けられています。

体内の脂肪細胞のインスリン感受性を低下させて、脂肪の蓄積を抑制する働きが認められています。

これに対して中鎖脂肪酸は、ココナッツなどに含まれる脂肪酸で、吸収されやすく、体内でエネルギーになりやすいことが知られています。エネルギーになりやすい理由は、あまり紹介されていないのですが、簡単にいうと代謝促進物質なしに細胞のミトコンドリアに取り込まれやすい性質があるからです。

ミトコンドリアに脂肪酸が取り込まれるときには、代謝促進物質のL–カルニチンと結びつく必要があります。L–カルニチンは年齢を重ねると体内での合成量が減っていくので、代謝も低下します。

ところが、中鎖脂肪酸はL–カルニチンがなくてもミトコンドリアの膜を通過することができるので、代謝しやすい、つまりエネルギー消費されやすいのです。

もう一つの長鎖脂肪酸は、サラダ油やバターなどに含まれている分解されにくく、体内に蓄積されやすい脂肪酸です。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕