そこが知りたい43 免疫細胞のエネルギー源

生きている人間は腐ることはありません。その当たり前のことが保たれているのは免疫細胞の働きのおかげです。免疫細胞は人間にとって害となる病原菌やがん細胞などを処理していく役割をしていますが、その働きは年齢が進むにつれて低下していきます。

免疫機能は20歳代がピークで、40歳代では半分に低下して、高齢者の仲間入りをする65歳では30%、後期高齢者になる75歳では20%にも低下するとの報告もあります。

免疫機能が低下する理由としては、白血球のT細胞は骨髄の増血幹細胞で作られ、胸腺で成長します。胸腺は20歳を過ぎると急激に萎縮するため、これが大きく関係していると考えられています。

免疫を強化する方法として、運動、体温を高める、入浴、ストレス低減など、さまざまな方法があげられています。それと同時に重要になるのはエネルギー代謝です。全身の細胞はエネルギー源の糖質、脂質、たんぱく質を取り込んで、細胞内のミトコンドリアでエネルギー化させています。

免疫細胞も必要とするエネルギー源は同じで、中でもエネルギー化しやすいのは糖質(ブドウ糖)です。加齢によって食が細くなり、糖質の摂取が少なくなってくると免疫機能も低下してきます。

脂質(脂肪酸)とたんぱく質(アミノ酸)でも免疫細胞のエネルギーにはなるのですが、免疫細胞の機能は中枢神経が正常に働くことによって保たれています。全身の神経は脳から発せられる情報を伝達しています。脳が正常に働くことで、神経の働きも正常に保つことができます。

脳細胞のエネルギー源となるのはブドウ糖だけです。血管と脳細胞の間には血液脳関門というゲートの役割をする部分があって、ここを通過できるエネルギー源はブドウ糖だけで、脂肪酸もアミノ酸も通過できないからです。

健康維持のためとして糖質制限がブームになっていますが、これは免疫を低下させる要因になっていることだけは少なくとも知っておいてほしいのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕