そこが知りたい46 牛肉が食べられない体質

発達障害で牛乳が飲めない、牛肉が食べられないという子どもは少なくありません。これは発達障害の中でも自閉症スペクトラム障害に特に多くみられる感覚過敏によるものとされています。感覚過敏は五感が過敏に反応するもので、牛乳の味、におい、喉越しが受け入れられないということで、これは苦手とか好き嫌いの範疇を超えています。

牛乳は五感だけかというと、以前に牛乳をこぼして叱られた記憶がある、牛に近づいたときに嫌なにおいに感じた、牛が大きくて怖かったといった記憶があって、飲めなくなる子どももいます。

中にはコップでは牛乳は飲めるのに、容器のパッケージに牛の絵が描かれていると飲めなくなるということもあって、絵が記憶をよみがえらせることが飲めない反応につながる場合もあります。

牛の肉であることがわからなければ食べられるのに、牛肉と知ったら、もう食べられないという子どももいます。これは、実は私も同じで、何の肉が使われているのかわからない料理であれば特に問題なく食べることができます。これは幼いときの食環境が影響しているようです。

私が生まれた新潟県出雲崎町は漁師町で、母親の実家は寺院であったために離乳食は魚食だったと聞きました。しばらくして母親と向かったのは父親の仕事場がある山奥の村で、地域の魚といえば川魚が少し食べられるだけでした。

肉は、村の魚屋さんが町場に出て魚を仕入れるときに、注文をして買ってきてもらうというくらいでしたが、実際に肉だと思って食べていたのは鯨だったというのは、私ばかりではなくて、地域の子どもも同じでした。

寺院の出身だというと精進料理のために肉食を避けていたと思われることもあるのですが、豚肉も鶏肉も、あまり食べる習慣がなくて、ましてや牛は農作業をしてくれるものという感覚で、子牛の誕生にも立ちあったことがあるので、牛肉を食べるというのは感覚としてなかったことです。

それは精神的なことのはずですが、なぜが牛肉を食べると消化がよくない、胃もたれするといった、まるで高齢者のような反応は、牛肉を売っている店がある都市部で暮らすようになった小学4年生から、今も続いています。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕