健康食品は、かつては臨床栄養の敵だと言われた時代がありました。その時代の真っ只中の1986年に病院栄養管理のHDS研究所に、私は主任研究員として参加しました。
この年には日本健康・栄養食品協会によって栄養補助食品規格基準が設けられ、質の高い健康食品の認定が始まったタイミングでもありました。
健康食品は品質が高い食品が数多く作られるようになった一方で、粗悪なものは依然としてありました。また、医薬品のように勘違いさせて販売する悪質な事業者も目立つようになり、1987年に厚生省(現在の厚生労働省)によって「無承認無許可医薬品監視指導マニュアル」が定められました。
この監視指導マニュアルは、当時の薬事法(現在は「医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」)に基づいて作られたもので、有効性を標榜する健康食品の厳しい取り締まりが行われるようになりました。
健康食品は機能性を表示して販売することはできなかったのですが、1991年に特定保健用食品制度が始まり、試験によって機能性が認められたものは特定保健用食品(トクホ)として機能性を示して販売することができるようになりました。
1995年には、HDS研究所を続けながら、臨床栄養、運動科学、薬理学、法学などの専門家が集結した健康科学情報センターを設立しました。
それは翌年(1996年)に外圧によってサプリメント規制緩和が行われるとの情報を得ていたからで、臨床栄養の敵だと言って避けているだけでは過ごせない時代への対応が必要な状況になっていたからです。
その規制緩和によって、1997年にはビタミンが医薬品としてだけでなく、食品としても使用することが許可されました。これに次いで、1998年にハーブが、1999年にミネラルが、2001年にアミノ酸が食品として許可されました。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブは食品との印象が抱かれていたものですが、医薬品成分が食品の成分として認められる動きが2001年から始まりました。2001年は厚生省と労働省が統合して厚生労働省になった年です。
2001年にはコエンザイムQ10が、2002年にはL-カルニチンが、2004年にはα-リポ酸が食品としても使用することが許可されました。この3種類の成分は、エネルギー代謝に関わる重要な成分で、日本メディカルダイエット支援機構は2008年に内閣府より特定非営利活動法人(NPO法人)として認証されてから、ずっとエネルギー代謝の3成分の研究を重ねてきました。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕