なぜ100均は値上げしないのか

100円ショップが日本で初めて登場したのは1985年のことで、ライフが催事での100円均一販売から常設店での販売を始めて、100円ショップの看板を掲げました。100円均一、100均とも呼ばれています。最大手のダイソー(大創産業)が創業したのは1977年ですが、常設展での100円均一を始めたのは1991年のことです。キャンドゥは1993年の創業です。他にセリア、ワッツなどがありますが、大手4社で約5500店舗、年間売り上げは約5500億円で、単純計算で1店舗が1億円も売っていることになります。
個人の収入が増えても、物価も上昇していて、実質賃金が下がっている状態だけに、できるだけ安く購入したいという人が多いことが100均の趨勢を支えているということです。消費者物価指数を見てみても、1950年を1とした場合には1977年には5になり、2019年は8.35となっています。1950年に比べて物価が8倍以上、1977年に比べても1.67倍にもなっているということは、それに比例して値上げがあってもおかしくないわけです。
それなのに100円のまま売り続けられるということは、それだけ多くの量を販売する薄利多売に拍車がかかっているということです。いかに安く購入したいと考えている人が多いかということで、消費税が2%アップした影響で、その分だけ消費が減ったのかというと、100均に限ってはマイナスにはならなかったといいます。
その一方で、軽減税率が適用された食品は、そもそも消費が減らないはずだったのに、消費量が下がっています。それも3%プラスになった前回に比べても下がっているという統計結果を見ると、将来の不安から財布の紐を締めている人が増えたということです。
ところで、消費税が初めて導入されたときには、「100円ショップ」の看板に対して、103円ショップでないのかという論議はされなかったのですが、5%になったときに105円ショップが議論されました。消費税の課税前の価格なので問題ないということになりましたが、それは今後8%、10%と上げていくための布石ではないかと言われたものです。