やせさせたくない人がダイエットしたがる

「やせさせたい人がやせようとしない」ということは栄養指導をしている栄養の専門家がよく口にしていた言葉です。太っている人は性格的に、おっとりタイプが多く、自分の体型など気にしない人が多いようです。だから太ってしまうのだ、と言われます。
これとは逆に、「やせさせたくない人がやせたがる」ということも言われます。このことを口にしたのは医師です。医者は病気を治す職種という印象がありますが、今では予防のために医師のもとを訪れる患者(?)も増えています。病気の人が患者であって、病気でない人は患者ではなく、どう呼んだらよいか迷うところですが、本来ならダイエットなどしなくてもよい人なのに、「どうしてもやせたいと言ってくるのは、これは精神的に病んでいるので患者だ」と話していた医師がいました。
それは個人的な感想ということでスルーしてほしい発言ですが、“やせようとしないやせさせたい人”は、強要するとか特典を与える、頑張った人には表彰をして名誉を与えるといった方法で対応することは可能です。健康づくりに頑張った人に商品券を提供するという方法でメタボリックシンドロームの改善に取り組んで成果を上げた自治体がありましたが、鼻先のニンジンは、それなりの効果があるのは事実です。使った費用よりも成果のほうが高かったというのは実際にあったことです。
問題となるのは“やせたがるやせさせたくない人”で、体脂肪は重要なエネルギー源で、必要以上に減らしてはいけないはずなのに、「もっとやせたい」とか「やせなくてもいいからやせて見えるようにしてほしい」というリクエストがあると困ってしまいます。
メディカルダイエットの手法は、太っている人だけでなく、通常の範囲の体脂肪の人でもそれなりに減らすことは可能です。しかし、体脂肪が少なすぎる人は、少しでも体脂肪をためようと身体が反応しているので、それに逆らって希望するような結果を出すのは本当に大変です。無理に体脂肪を減らそうとすると、ブレーキがかかって、むしろ体脂肪が増えるようなことにもなりかねません。(実際に増えた例もあります)
前例の医師のように「病んでいる」と言って突き放せるなら簡単なことでしょうが、突き放すようなことをすると勝手に無理なこと、とんでもないことに挑戦してしまうのがダイエット希望者の常です。そして、無理をしたことで、かえって太りやすくなるということがあるのを知っているので、やせる必要がない人、やせては困る人には、できればやせないようにしてほしいのです。
と言ってみても、私たちの思いと反対のことをする人はいます。その人たちは、実際の体重を減らしたいのか、体脂肪を減らしたいのかと聞いてみると、やせて見えるようにしてほしいということを言います。体重も体脂肪も言わなければ他の人にはわからないことです。となると、私たちがアドバイスするのは、見た目のスリムさです。体重と体脂肪が落ちていなくても引き締まってスリムに見える方法を教えることです。
見た目のスリムは最初のうちだけで、だんだんと見た目だけでは満足できずに、本当にスリムになりたいと願うようになります。それがゴールで、そのスタートがスリム風な外見をもたらす引き締めの筋肉トレーニングです。