ダイエット法の情報ほど怪しく感じるものはなくて、科学的な解説がされていると信じてしまいがちですが、正しいことなのか、怪情報なのかの判断は難しいことです。ダイエット情報が正しいかどうかの判断基準として、ありがちなのはダイエット法を語っている先生が太っているか、やせているかを一般の方々は重要視していることです。どんなに素晴らしい研究者で、素晴らしい研究をしている先生であっても、その先生が太っていたら、なかなか信じる気になれないのは当然の反応です。
問題とされるのは、ダイエット法を語っているのがスマートな先生で、やせている先生の情報のほうが信じやすいのは事実です。信じやすいというイメージを活かして、コメントをする先生を選ぶというのはテレビでも雑誌などでも、よくやることです。登場した先生とコメントの内容を見比べて、疑問を感じることもよくあることです。
しかし、ダイエットを専門的に研究している人や情報を収集している人でなければ、実際に研究した成果なのかを知るのは難しいことです。ましてや、その先生が自分で実践してやせたのか、太らないようにキープしているのかを知るのは大変なことです。
私たちが付き合っているダイエット研究の先生方は、どちらかというとスリムという体型ではありません。正直にいって中肉中背という健康で長生きするには理想的な体型にも関わらず、ダイエットを目指している方々には太って見えるようで、「自分が一生懸命に指導しても伝わらない」と嘆いている先生も少なくありません。
ここでいう先生というのは、医師だけでなく管理栄養士や健康運動指導士など幅広くダイエットに関わっている方々のことですが、運動をしている先生は筋肉が多く、見た目にはスリムというよりも大きく見えます。それは健康を保つためにも、代謝を高めて脂肪燃焼を高めるためにもよいことなのですが、見た目の印象からいうとダイエット向きではないようです。その見た目で判断するのは女性に多く、筋肉が少なくてもスリムであればよいということを言うような人に多くなっています。
では、太って見える先生方はダイエット理論に基づいて実践しているのかというと、必ずしも全員がそうでもありません。メタボリックシンドロームの診断と指導が始まったときに、医学系学会の総会・大会で受付時にウエストサイズ(腹囲)を図るということをやったことがあります。メタボリックシンドロームの指導をする立場の人がメタボリックシンドロームの基準に当てはまるようでは困るということがあったのですが、さすがに医学者だけあって、頑張って総会や大会に間に合わせてきました。これを経験して、いかに患者が頑張っているかがわかったという先生もいましたが、学会が終了した後の飲食で驚くほどの食欲を見せていました。
これでは自分が見本になって指導をするのは難しいかと思ったものですが、患者に太って見られると嘆くのではなく、ダイエット法に真実味を持たせるには、まだまだ努力が必要では、とも思ったものでした。