“れんこん三兄弟”の味わいの違い

蓮根(れんこん)の食感といえば、シャキシャキという表現をする人と、モチモチという表現をする人がいます。シャキシャキとモチモチでは、普通の感覚では随分と違った食感で、そんなに違いが出るのは食べている人の問題なのか、食品である蓮根の品種のせいなのか、それとも両方が合わさった結果なのかという疑問が湧いてきますが、実は、どれでもないというのが今回の話です。
“蓮根業界”という言葉があるのかわかりませんが、蓮根を扱う業界では「れんこん三兄弟」という言葉があります。蓮根ではなく、れんこんと平仮名で書いたのは、れんこん三兄弟という会社が茨城県稲敷市にあって、蓮根農家の宮本家の年子の男兄弟3人が独立して立ち上げた会社があり、「れんこん三兄弟」で検索すると、それが先にヒットするからです。
これとは異なる蓮根の三兄弟がNHKの健康などをテーマとするテレビ番組で取り上げられましたが、さすがに公共放送で社名を出すわけにはいかないのか、「レンコン三兄弟」とカタカナ表記となりました。この番組で取り上げた三兄弟は蓮根の部位の違いを示したもので、蓮根は独立した部位が3個で基本的に構成されています。
根から初めにできるのが長男、次が次男、最後が三男と呼ばれています。根に近い方がデンプンが多く蓄積されるのでホクホクした食感になります。その食感を活かすための調理法は、焼き物か煮物です。次男の前に三男の話をすると、三男はデンプンが少ないシャキシャキの食感で、酢の物や炒め物に使われます。次男はデンプンの量が長男と三男の中間で、どのような料理にも使うことができる万能型となっています。
店頭で販売されるときに、長男か次男か三男かが表示されていればわかりやすく、ついでに食感についても表示されていれば料理に合わせて選ぶことができるのですが、そこまでしている店舗は見たことがありません。
蓮根の三兄弟の話は番組で紹介される前に、れんこん三兄弟に取材をした日本メディカルダイエット支援機構の理事長が聞き出し、三兄弟にちなんで食感の違いを雑誌記事として紹介しています。それを見たのか見なかったのか、そこはわかりませんが。記事になってから2年後の放送でした。
長男(会社のことではなくて)は細長くなっていて、次男は丸くて大きく、三男は丸くて小さいという形の特徴があります。これを知っているだけで自分が食べたいものを選ぶことができます。
蓮根を販売している店で、ハンバーグに入れるとモチモチ感が増しておいしいと紹介していました。特にモチモチ感が強い特産地のもので、その地域はゴボウも有名で、土の中で育つ根菜類には特徴があります。
そのときに、どこまで三兄弟の特徴を言ってくれるのかと思って、「一人分なので小さいのがよいのだけれど」と話したら、一番小さな三男をすすめてくれました。ひょっとすると、この産地のものは三男でもモチモチなのかと思って、ハンバーグではなく焼いて食べてみました。そうしたら、やはりシャキシャキの食感でした。味は申し分ないのですが、食感も重要な味わいなので、せっかくの名産地の蓮根なので、そこを理解して販売してほしいと思ったものです。