ウコンが肝臓に負担をかけることがある

ウコンは肝機能を高める健康食品として知られています。これはウコンにはアルコールの分解を進める作用があり、アルコールの分解力が弱いために悪酔いしやすく、肝臓を傷めやすい日本人に適した素材として広まっています。
ウコンはカレーの黄色い色の香辛料のターメリックであると説明されますが、ターメリックは秋ウコンのことです。春ウコンの正式名称は姜黄(キョウオウ)で、ウコンが正式名称となっているのは秋ウコンです。このほかに紫ウコンと呼ばれるガジュツがあります。
ウコンの有効成分のクルクミンは黄色の色素成分で、春ウコンのクルクミンの含有量は0.3%で黄色なのに対して、秋ウコンは3.6%と12倍の含有量でオレンジ色となっています。紫ウコンにはクルクミンはわずかしか含まれていないため、色は薄い紫色となっています。クルクミンには強い抗酸化作用とともに、アルコールが肝臓で分解されてできるアセトアルデヒドの分解を早める解毒作用を高める作用があります。ウコンの精油成分には胃を保護し、肝臓から分泌される消化液である胆汁酸の量を増やす働きがあります。紫ウコンに精油成分が多く含まれ、春ウコンは含有量が少なく、秋ウコンにはわずかしか含まれていません。
ウコンはショウガ科の多年草で、アジア、アフリカ、中南米の熱帯から亜熱帯の高温多湿地域で自生しています。漢方薬の材料の「鬱金」として、根茎部が肝機能の向上のほか気血の流れを調整する生薬として古くから使われてきました。ウコンは漢方の医薬品成分でもあることから、摂りすぎると肝臓に悪影響を与えることもあります。
健康食品によって発生した健康被害は、医学部がある大学から厚生労働省に報告されています。その中で最も報告例が多いのはウコンで、健康被害例のほとんどは肝機能障害です。
ウコンはアルコールが肝臓で分解されてできるアセトアルデヒドの分解を早める解毒作用があることから、アルコール飲料を飲む人の場合は、解毒作用に使われることで成分が失われ、肝臓に健康被害を与えることは少なくなっています。ところが、肝機能の向上によいとの思いから、飲酒をしない人も摂っている例がありますが、その場合には漢方の医薬品成分を多く摂ることになり、期待とは逆に肝臓に負担をかけて肝機能を低下させることもあるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)