アメリカで開発された簡単にできるフィットネスが、日本に初登場したときにはアメリカの結果を示して、同じような結果が得られるといったイメージで拡散されていきました。
同じ方法を、同じ時間だけ行えば、同じ結果が出るというのは普通に想像されることであり、同じ結果が出なかったら、その理由が検討されます。指示されたとおりの方法を行っていなかったのではないか、実施する時間が短かったのではないか、といったところですが、肝心なことが抜けています。
それは運動をする人の体質で、中でも大きく影響するのは2種類の筋肉の割合です。2種類の筋肉というのは白筋(速筋)と赤筋(遅筋)のことで、白筋は無酸素運動によって刺激されて増える筋肉で、ブドウ糖を主にエネルギー源としています。赤筋は無酸素運動によって刺激されて増える筋肉で、脂肪酸を主にエネルギー源としています。
その割合は黒人(アフリカ系)では「白筋7:赤筋3」ですが、白人(ヨーロッパ系)では「白筋5:赤筋5」とされています。もちろん、細かく人種を見ていくと違いはあるものの、黒人は白筋が多くて瞬発力が高く、白人は白筋と赤筋が同じ程度であるので瞬発力も持久力もあることになります。
これに対して日本人は「白筋3:赤筋7」と、黒人と逆の割合になっています。こういった違いがあるために、日本人はオリンピックでマラソンでは金メダルは獲得できても、短距離走では難しい、短距離走は黒人が強いという証拠のように語られることがあります。
それが事実なのかの検証は他の機会に譲るとして、エネルギー代謝に関わるデータが示されたときには、日本人に合っているのか、それとも民族によって違うものなのか、それを確認してから受け入れるようにしないと、無駄なことに時間をかけてしまうことにもなりかねないのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)