エネルギー代謝19 有酸素運動と無酸素運動の境界線

運動をすれば脂肪をエネルギー化する脂肪代謝が高まりますが、運動の程度によって、その結果には大きな差が現れます。有酸素運動は負荷が高まるほど脂肪代謝の効果は高まっていくのですが、有酸素運動であっても負荷が高まると無酸素領域となります。効果的な運動をするには、有酸素運動と無酸素運動の境界線のレベルを継続させることが重要となります。
その境界線はATポイントと呼ばれます。AT(Anaerobic Threshold)は嫌気性代謝閾値といって、乳酸が産生される直線の運動段階を指しています。乳酸は無酸素状態で発生する老廃物で、体内で増えるほど筋肉の動きが低下して、疲労が蓄積するようになります。
ATポイントは体格や体力、運動経験などによって変化していきますが、20分割したスケールのうち11〜13がATポイントとされています。最大酸素摂取量(全力で運動したときの負荷)でいうと60〜70%になります。60%が11、70%が13に相当します。13というのは、ややきついと感じる負荷で、長くは続けられない状態です。それよりも少しだけ負荷が弱い、なんとか会話をしながら続けられる運動強度の60%が目標運動強度となります。
心拍数はスケールの10倍というのが一般的な理解で、1分間の心拍数が110回以上になると有酸素運動による60%の最大酸素摂取量となります。
もっとも脂肪代謝が高まる13(ややきつい)の運動は1分間の心拍数が130とされているものの、年齢によって違いが現れます。ややきついという段階の心拍数は20代は150回、30代は145回、40代は140回、50代は135回、60代は120回とされています。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)