エネルギー代謝3 なぜ日本人は血液温度が低いのか

日本人の血液温度が低いのは、多くのエネルギーを作り出す脂肪の摂取が歴史的に少なかったことが関係しています。脂肪はエネルギー量が高くて、これを細胞の中で代謝させることで多くのエネルギーが作り出されます。全身の細胞で作り出されたエネルギーのうち半分ほどは熱エネルギーとして身体を温めることに使われています。
生命維持のための基礎代謝は全エネルギーのうち70%ほどで、基礎代謝の70%ほどが体熱産生なので、「70%×70%=49%」で、これを根拠としてエネルギーの半分が熱に使われるとしているのです。
細胞で作られた熱によって細胞が温められると、細胞の中で起こる生化学反応が盛んになります。生化学反応には酵素が必要で、その酵素は一定の温度になることで活性化するので、温めることは重要です。
脂肪のエネルギー量の高さについてですが、脂質(脂肪)は1gあたり約9kcal、糖質とたんぱく質は約4kcalと、脂質は2.25倍のエネルギー量があります。寒い地域では、多くの熱エネルギーを作り出さなければならないことから、脂肪が多く含まれるものを食べ、その脂肪を効果的にエネルギー化させるために脂肪の代謝能力が高まっていきました。
それに対して暖かい地域では、体熱の産生が少なくて済みます。1日に必要なエネルギー量(男性)はロシアでは3000kcalとされるのに対して、インドでは1500kcalとされ、日本では2200kcalとなっています。食事で摂る摂取エネルギー量が少なくて、エネルギー代謝の能力が低い日本人は、脂肪を多く摂らなくても生き延びることができたことから、全身の細胞で作られる熱エネルギーが少なくて、そのために血液の温度が低くなっているのです。
それだけ日本人は、全身の細胞が温まりにくくて、細胞の働きも低くなっています。若いときには、それでも活動ができたのですが、年齢を重ねるほど細胞の働きが低下して、これが健康度を大きく低下させる結果になっているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)