全身の血流を高めることは腸内環境を整えるためにも効果があります。血流を高めるためには運動するのがよいとされます。血流が高まると温かな血液が全身を巡り、これによって全身の臓器が温められることになります。
手足が冷える人は血液温度が低いようにも思われることもあるのですが、血液温度は人によって大きな違いはありません。日本人は血液温度が低めで、欧米人に比べると1℃ほども低くなっています。わずか1℃の違いと感じられるものの、日本人なら長袖の上に、もう1枚羽織りたくなるような気温でも欧米人は半袖でも平気ということは、来日している欧米人の服装を見るだけでもわかります。
皮膚の温度が高めだと、腸の温度も高くなります。腸は身体の内側にあっても、口から肛門までを一つの筒と考えると、身体の中ではなくて、外側であると認識されています。皮膚も腸壁も血管の端にあるので、同じような温度となっているのです。
腸の中には腸内細菌が棲息しています。腸内細菌のうちの善玉菌が多くなり、活発に働くと腸内環境がよくなり、便通もよくなって健康面でも向上していきます。これとは逆に、悪玉菌が多くなると便通が悪くなり、悪玉菌によって発生した有害物質によって健康面では低下していくようになります。
善玉菌、悪玉菌という区別についてですが、菌の中の生化学反応によって健康のために有益な代謝物が作られるものが善玉菌、健康のために有害な代謝物が作られるものが悪玉菌と呼ばれています。代謝物という言葉が使われていますが、全身の細胞の中で行われているエネルギー代謝とは違っています。
腸内細菌の活動には温度が重要で、善玉菌は腸内が温まることで増殖して、活動も活発になっていきます。欧米人と日本人の血液の温度の違いを生じさせているのは、体内で発生するエネルギー量の差で、その多くは細胞のミトコンドリアにおける脂肪代謝の違いが関係しています。脂肪酸をミトコンドリアの中に取り込むにはL‐カルニチンが必要で、欧米人は年齢を重ねてもL‐カルニチンが大きくは減りにくいのに対して、日本人は20代をピークに年齢を重ねるにつれて体内の蓄積量が減っていきます。
脂肪代謝によって全身のエネルギー代謝が盛んになることで血液温度が高まっていくので、L‐カルニチンは腸内環境を整えるために重要な役割をしているのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)