長らく事実のように語っていると、いつの間にか根拠を求められることがなくなり、説明する機会もないということがあります。その卑近な例として、ここで説明しておかないといけないと思ったのが、「フルマラソン1回2400kcal」という数字です。
2400kcalというと、1日に必要な摂取エネルギー量(といっても成人男性)に相当します。これは個人差が大きくて、“だいたいそんな感じ”というくらいで、あまり気にしないのかもしれません。なぜフルマラソンのエネルギー量を例としてあげているのかというと、「体脂肪を1kg減らすためにはフルマラソン3回分」ということを言いたいからです。
脂肪のエネルギー量は1gあたり約9kcalです。1kgは1000倍なので9000kcalになるのかというと、脂肪細胞の中に蓄積されている体脂肪には水分が含まれていて、その割合は約20%です。そのため、体脂肪1kgは「9kcal×1000g×80%」で、7200kcalとなります。
1日の飲食による摂取エネルギー量が2400kcalだとすると、3日分の食事量に相当するのが体脂肪1kg分になるということです。このことは体脂肪のエネルギー量を示すときに、よく使われているのですが、これを使うと食事を減らすことを推奨しているように思われてしまいます。
中には運動をしないで、食べる量を減らすだけでダイエットをしようという人も出てきます。できることなら、しっかりと食べて、その分は運動をしてエネルギー代謝を高めてほしいことから、運動での消費量を示すようにしています。
1kmを移動するときに消費されるエネルギー量は体重1kgあたり1kcalとされています。体重が57kgの男性が42.195kmを走った(歩いても同じ)場合には、「57kg×42.195km=2405.115kcal」となります。これが根拠なのですが、身長にもよるものの、運動をして引き締めている人の体重としては妥当なところです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)