全身の細胞の中でエネルギー産生を行うミトコンドリアは、糸を意味するミト(mito)と顆粒を意味するコンドリア(chondoria)から作られた用語です。直径は0.5μm、長さは球形、筒状、紐状などの近いで異なりますが、最も長いもので10μmとなっています。
1μm(マイクロメートル)は1000分の1mm(ミリメートル)なので、いかに小さいかがわかります。
小さくても数が非常に多く、1つの細胞に100〜3000個も存在しています。ミトコンドリアの数が多いのは筋肉、脳、肝臓、腎臓で、多くのエネルギーが必要なところでは数が多くなっています。それはミトコンドリアで作り出されたエネルギーは、その細胞の中だけで使われるものであって、多くのエネルギーが必要な臓器の細胞では、多くのエネルギーを作り出すためにミトコンドリアが多く存在しているわけです。
非常に数が多いことで、全身の細胞の中のミトコンドリアの重量は10%ほどとなっています。体重の10分の1がミトコンドリアの重さというわけで、いかに生命維持のために重要な器官であるかがわかります。
筋肉、脳、肝臓、腎臓では細胞質(核を除いた部分)の40%がミトコンドリアとなっています。それだけ多くのエネルギーを作り出すことができるといっても、エネルギー源のブドウ糖と脂肪酸を多くミトコンドリアに届けなければ、エネルギー産生が少なくなります。
脳だけは特殊で、エネルギー源はブドウ糖だけです。これは血液脳関門という脳細胞の手前にある関門(ゲート)がブドウ糖以外を通さないようにしているからです。
脂肪酸をエネルギー化させるためには、脂肪酸がミトコンドリアの膜を通過する必要がありますが、その役目をしているのはL‐カルニチンです。脂肪酸はL‐カルニチンと結びつくことによって、ミトコンドリアの膜を通過して、初めて細胞内のエネルギー源となることができるのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)