エネルギー代謝64 プラセボで代謝が高まる理由

機能性表示食品は、機能性(血圧降下や血糖降下など)を表示して販売できる制度で、その機能の数値をグラフ化して広告に使っている会社もあります。それを見ると、機能性表示食品の本製品と、その成分が含まれていないプラセボ(偽薬とも呼ばれる)を比較すると、本製品のほうが数値の下がり方が大きくて、その効果を確認することができます。

そのときに注目してほしいのは、プラセボを使った人の数値の変化で、有効成分が含まれていないにも関わらず、変化は少しであっても数値の改善がみられています。試験をする人には本製品なのかプラセボなのかは知らされていないのですが、本物を摂っていると思っただけで変化が起こる人がいます。

これが機能性表示食品の“機能性”を“気のせい”などと揶揄する人が出てくることにもつながっています。

有効成分が含まれたものを摂っていても、検査結果に影響を与えるような生活をしていてはいけないので、食事や運動、生活習慣が同じになるように摂取者には条件がつけられます。グラフの横か下に小さな文字で書かれている但し書きを見ると、適度な食事と運動をした人の結果だと書かれていることがあります。

有効成分が含まれていないものを摂っても健康効果が現れるのなら、それを多くの人にすすめるのがよい方法だと考えることができます。血圧、血糖値、中性脂肪値、LDLコレステロール値は、食事によるエネルギー摂取コントロール、運動や生活習慣を盛んにするエネルギー代謝促進によって、よい結果が出ることは臨床栄養でも運動科学でも確認されていることです。

食事と運動の効果は試験対象者によっても異なるので、どのような食事、運動がよいとは言い切れないのですが、それだけの改善でも効果があるということです。そして、機能性表示食品を使うにしても、検査結果と同様の効果を得るためには、ただ摂取すればよいわけではなくて、食事や運動にも気を使わなければならないということがわかります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)