細胞の中のミトコンドリアはエネルギー産生の小器官で、一つずつは小さな存在ですが、数が多くて、細胞によって差は大きいものの、200〜2000個ものミトコンドリアが存在しています。全身の細胞のミトコンドリアの重量を合わせると、全体重の10%にもなります。それくらい重要な器官であり、エネルギーが多く作り出されないと正常な働きができないことになります。
ミトコンドリアでエネルギーを作り出すのはTCA回路というエンジンなような働きをする部分で、三大エネルギー源(ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸)はTCA回路で使われる高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化します。
そして、アセチルCoAがTCA回路の中で9段階を経て別々の酸になり、一周してくるとATP(アデノシン三リン酸)は発生します。これはエネルギー代謝として、一般に説明されているメカニズムです。
ATPが発生するというと、何もなかったところからATPが作り出されるようにイメージする人もいるかと思いますが、ATPはアデノシンにリン酸が3つ結びついた形をしていて、その一歩手前ではリン酸が2つ結びついたADP(アデノシン二リン酸)となっています。
TCA回路では複雑な変化をしながらリン酸を1つ増やしているだけということも言えるわけですが、ATPからADPになるとき、つまりリン酸が1つ離れるときにエネルギーが発生しています。
ATPはエネルギーではなくて、あくまでエネルギー物質というエネルギーを含んでいる物質でしかありません。ATPからADPになるときには酵素が必要で、その酵素を働かせるためには補酵素のコエンザイムQ10が必要になります。
サプリメント成分でもあるコエンザイムQ10はダイエット成分としても知られていますが、実際には全身の細胞でエネルギー産生の最終段階で必要になる代謝促進成分だったのです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)