エネルギー代謝76 甘いものを食べてもダイエット

「汝の敵を愛せよ」というのは新約聖書のマタイ伝に登場する言葉です。

ダイエットの敵といえば“甘いもの”とされることが多いのですが、これは甘いものを食べると太るという印象が強く抱かれるからです。甘いものには砂糖が多く使われていて、砂糖を構成する分子の半分はブドウ糖です。

ブドウ糖のエネルギー量は1gあたり約4kcalで、脂肪酸の約9kcalに比べると同じ重量では半分以下でしかありません。多くの量を摂りすぎなければよいわけですが、ブドウ糖は脳の食欲中枢の満腹中枢を刺激するので、ダイエットに限らず精神的なストレスを解消する作用があるため、摂りすぎてしまうことも少なくありません。

また、血液中のブドウ糖が多くなると膵臓からインスリンが多く分泌されるようになります。インスリンはブドウ糖を細胞に取り込むために必要なホルモンですが、それと同時に肝臓での脂肪合成を進める働きもあります。そのために甘いものを食べると太ることにつながります。

ストレスの解消だけなら甘いものを少しだけで食べて、脳を落ち着かせればよいわけで、何も多くの量を食べる必要はないはずです。ただ、甘いものといっても洋菓子は砂糖とともに脂肪も多く使われています。それに対して、和菓子は砂糖が中心で、炭水化物が多くを占めているものの脂肪はほとんど使われていません。

和食は調味料の順番は「さしすせそ」と呼ばれるように砂糖が初めに使われます。洋食ではほとんど砂糖が使われないので、血糖値が上昇しにくいので、最後にデザートとして甘いものを食べます。

ご飯が中心の食事では、血糖値が上昇するので、食後の甘いものはなくてもよいはずですが、それなのに食事の後に甘いものがほしくなるのは血糖値が上昇しきれていないからです。食事を始めてから血糖値が上昇して満腹中枢が働くまでには15〜20分の時間がかかるので、甘いものを食べないようにするため、もしくは少しの量にするためには、食事をゆっくりと食べることも大切になってきます。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)