エネルギー代謝85 脳のエネルギー切れの原因

脳は全身のコントロールをしている重要な器官であることから、エネルギー切れを起こさないようにはなっています。しかし、充分な働きをするためには一定のエネルギー源が必要で、それを下回ると機能が低下することになります。

機能が低下するといっても、生命維持に必要な機能が低下するのは最後のほうで、初めに機能が低下するのは記憶や集中力といった部分です。そのため、エネルギー源が不足するようなことがあると頭が回らなくなる、集中して取り組むことができないということが起こります。

エネルギー源というと糖質、脂質、たんぱく質ですが、脳細胞に近い血管には血液脳関門というバリア機能があって、必要なものしか通さない機能があります。エネルギー源のうち血液脳関門を通過できるのは糖質のブドウ糖だけです。そのため、ブドウ糖は唯一のエネルギー源と呼ばれています。

ブドウ糖は糖質を構成する成分で、ブドウ糖が10個以上結びついたものがデンプン(澱粉)です。デンプンが分解されると麦芽糖(ブドウ糖2個が結合)になり、麦芽糖が分解されてブドウ糖になります。

脳細胞の中に入ったブドウ糖は、優先的にエネルギー化されるので、保持時間が決まっています。充分に脳細胞が働くだけのブドウ糖が保持される時間は15時間ほどです。だから、夕食を19時に食べて、翌日の朝食が7時だとすると、その間の空腹期間は12時間なのでエネルギー切れをすることはありません。

ところが、朝食を抜くことになると10時にはブドウ糖が足りない状態になって、12時の昼食までの2時間はエネルギー切れ状態の中で仕事なり、学習なりをしなければならなくなります。

問題は、これだけではなくて、全身をコントロールする脳が充分に機能を発揮できない時間が1日に2時間あって、それが長く続くようなことになると健康面で影響が出るのは当たり前のことです。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)