エネルギー代謝97 エネルギーチャージの限界

1日に必要な摂取エネルギー量は、性別、身長、体重、活動量などによって異なりますが、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年)に計算法が示されています。これを参考に、多すぎず、少なすぎないエネルギー源(糖質、脂質、たんぱく質)を摂れば健康が維持されるというのは基本的な考えです。

エネルギー源が不足していてはエネルギーも多く作り出せないということになるのですが、それだけで可能なのかというと、そうではありません。1日分の摂取エネルギー量で不足する分を補うエネルギーチャージという方法もあるものの、エネルギー源を摂っても、これがエネルギー化されないのでは、エネルギー源が余分なものとして脂肪に合成されてしまいます。

エネルギー源を摂って、身体を動かしていても太ってしまう、やせないという人は、エネルギー源を代謝させるために必要な栄養成分が不足していることが考えられます。

糖質はブドウ糖に分解され、脂質は脂肪酸に分解され、たんぱく質はアミノ酸に分解されたのちに、細胞のミトコンドリアに取り込まれて、高エネルギー化合物のアセチルCoAに変化します。その後にミトコンドリアの中でエネルギー代謝が行われるTCA回路に入ります。

このうちエネルギー源から脂肪酸、アミノ酸に分解されるときに水溶性ビタミンが必要になります。また、ブドウ糖、脂肪酸、アミノ酸からアセチルCoAに変化するときにも水溶性ビタミンが必要になります。

さらに、TCA回路でエネルギーが発生するときには4種類のビタミンB群(ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂)が必要になります。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)