全身の細胞を働かせるためのエネルギーは、細胞の中にあるミトコンドリアで作り出されています。このエネルギー代謝によって発生するのはエネルギーではなくて、ATP(アデノシン三リン酸)です。ATPはエネルギー物質と呼ばれていて、ATPからリンが一つはずれてADP(アデノシン二リン酸)となるときにエネルギーが発生します。ATPが多く作り出されるようにすれば、それだけ糖質と脂質をエネルギーとして作り出すことができて、ダイエットにも効果があることになります。
ATP生成作用のある素材としては、クレアチン、コエンザイムQ10、パントテン酸があげられます。摂取タイミングですが、エネルギー代謝が高まる食後や運動時に効果を発揮するように、食事の前後や運動前に摂ります。
クレアチンは、筋肉中に含まれるアミノ酸の一種で、アルギニン、メチオニン、グリシンから構成されています。体内では腎臓、肝臓、膵臓で作られます。筋肉でエネルギー源となるATPを産生し、また筋肉量を増やす作用があります。筋肉疲労の原因となる筋肉内の老廃物の水素イオンを排除して、運動能力の向上のほか筋肉内の水分量を増やす働きがあり、筋肉や関節の痛みの改善に作用します。ブドウ糖が含まれる糖質と同時に摂取するとインスリンの分泌によって骨格筋に多く取り込まれるようになります。食品では、肉類と魚介類に多く含まれます。
コエンザイムQ10はエネルギーを生産するために欠かせない脂溶性のビタミン様物質で、細胞にエネルギーを供給するのを助ける補酵素です。コエンザイムQ10は、ほとんどすべての細胞に存在しているオレンジ色の成分で、細胞内でエネルギーを発生させるミトコンドリアで、生命のエネルギーであるATPを合成する酵素の作用を補助する補酵素となります。食品では、鰯、鯖、牛肉、ピーナッツ、ブロッコリーなどに多く含まれます。抗酸化、免疫機能の強化、心臓機能の維持、コラーゲンの生成促進による筋肉や皮膚の修復などの効果があります。
パントテン酸はビタミンB群の一種(ビタミンB₅)で、補酵素のコエンザイムの構成成分であり、たんぱく質、脂質、糖質(炭水化物)のエネルギー代謝の補助役として必須となります。皮膚や粘膜の健康維持に関わり、HDLコレステロール値の増加、抗ストレス作用のある副腎皮質ホルモンや神経伝達物質の合成、免疫抗体の合成、解毒などの作用にも関与しています。