コロナ禍でのオンリピック開催への賛否両論が相次いでいます。それに直接意見を言う立場でもなく、発言するつもりもないのですが、これを機会にオリンピックの本質を見直すべきところに来ているのではないかとの考えがあります。“本質”というのは、オリンピックの歴史的な背景のことではなくて、現在の組織的な位置付けのことです。
世界のアマチュアスポーツは、世界団体(例:国際バレーボール連盟)があり、その傘下に各国の団体(例:日本バレーボール協会)があります。各アマチュアスポーツの世界団体を統括する組織はスポーツアコード(Sports Accord)といい、日本では国際スポーツ団体連合と訳されています。スポーツアコードはオリンピックとワールドゲームズに大別されていて、オリンピック採用競技以外はワールドゲームズとして加盟しています。
各競技団体の世界選手権、ワールドマスターゲームズ、ユニバーシアード、スペシャルオリンピックスなどの国際競技大会の主催者にもなっています。
ワールドゲームズの世界団体は国際ワールドゲームズ協会で、オリンピックに採用されていない37団体が加盟しています。オリンピックと比較してマイナースポーツ扱いされることもありますが、著名なところでは、世界野球ソフトボール連盟、世界ボウリング連盟、国際ボディビル・フィットネス連盟、世界フライングディスク連盟などがあります。我が国には日本ワールドゲームズ協会があり、笹川スポーツ財団が事務局を担当しています。
国際ワールドゲームズ協会には、国際カヌー連盟、国際体操連盟、国際ハンドボール連盟、国際ホッケー連盟、国際空手連盟も加盟しています。これらのスポーツはオリンピック競技と思われていますが、オリンピックで採用されているのは一部で、採用されていない競技(アクロバット体操、エアロビスク、ビーチハンドボール)や規則や体重別制限などがオリンピックと異なるものはワールドゲームズの範疇になっています。
国際ワールドゲームズ大会は冬季スポーツ以外で、オリンピックの翌年に開催されています(今回は2022年にアメリカのバーミングハム)。日本でも2001年に秋田で開催されていますが、ほとんど知られていないようです。
日本ワールドゲームズ協会の赤木恭平会長は公益財団法人全日本ボウリング協会の名誉会長で、全日本協会の会長だけでなく、世界ボウリング連盟の会長も務めてきました。公益財団法人日本健康スポーツ連盟の副理事長でもありますが、日本メディカルダイエット支援機構の理事長は日本健康スポーツ連盟で理事を務めてきました。日本健康スポーツ連盟の玉利齊前理事長は公益社団法人日本ボディビル・フィットネス連盟の会長、日本ワールドゲームズ協会の副会長でもあった関係もあり、ワールドゲームズとは親しく付き合ってきました。
オリンピックは、スポーツアコード傘下の国際競技大会であり、現状のIOC(国際オリンピック委員会)は非政府の非営利団体のはずですが、あまりにお祭り、コマーシャリズムが強くなりすぎていて、本来の姿ではないのではないか、という声は以前からあがっていました。コロナ禍で日本側から中止を申し出た場合には違約金が発生するという報道がされていましたが、そのようなことをしたら今後は開催都市として立候補がなくなるどころか、各国のオリンピック委員会が脱退して、IOCが存続できなくなるという見方さえあります。
コロナ禍の“おかげ”で、オリンピックを根本的に見直すタイミングが与えられた、ということかもしれません。