カテキンは緑茶に含まれる抗酸化成分であるポリフェノールの一種で、“勝て菌”から命名されたと言われたことがあります。今でも、この説を信じ込んでいて、セミナーなどで話している講師もいます。しかし、カテキン(catechin)は、インドなどに自生しているアカシアのカチューという樹木から抽出された暗褐色のカテキュー(catechu)に由来しています。カテキューは暗褐色ですが、カテキンは無色です。
カテキンは緑茶の成分ということで、緑色をしていると思っている人もいて、そのようにセミナーで話している人もいます。緑茶が緑色なのはクロロフィル(葉緑素)によるもので、よく緑茶の茶葉から緑色が出ているのでカテキンが摂れていると思っている人がいるようですが、抗酸化作用は期待できません。期待できないどころか、緑色が出ているからといって茶葉にお湯を注いでから時間が経過しているのに、それを飲むことは、かえって健康にはマイナスにもなりかねません。というのは、抗酸化成分は酸化しやすい成分だからです。
抗酸化成分は体内で酸化することによって、細胞が活性酸素によって酸化されにくくなり、細胞の酸化を防ぐことができます。緑茶のカテキンは酸化しやすいので、30分もすれば酸化された茶葉になっています。それを使って、お茶を淹れたら、まるで活性酸素を飲んでいるようなことになってしまうということです。
では、カテキンには“勝て菌”の効果はないのかというと、カテキンには毒素型の細菌には解毒作用、感染型の細菌には細胞膜を破壊する殺菌作用が認められています。ウイルスに対しては、種類のカテキンのうちエピガロカテキンガレートが白血球のマクロファージを活性化させることが確認されています。さらにカテキンにはウイルスの細胞と結びつくジョイントを塞ぐ効果があるために、細胞に取りつくことができなくなることも知られています。