カルシウム代謝14 糖尿病と骨粗鬆症

糖尿病になると骨密度が低下して、骨粗鬆症になりやすくなることが指摘されています。

糖尿病では膵臓から分泌されるホルモンのインスリンが不足するか、インスリンは足りていても働きが低下するインスリン抵抗性が生じています。

インスリンの働きが悪くなるとビタミンDの働きが低下して、腸からカルシウムを吸収する力が低下するようになります。これが骨粗鬆症の原因の一つとされています。

また、インスリンが不足すると骨を作っていく骨芽細胞の分化・成熟が抑制されることも確認されています。

糖尿病の人と、糖尿病ではない人を比較した研究では、タイプによって結果が異なることが明らかにされていて、1型糖尿病(多くは生まれつきインスリンが分泌されにくい人)では3〜7倍、2型糖尿病(生活習慣によって発症した人)では1.3〜2.8倍も骨折しやすいことがわかっています。

骨粗鬆症というと骨密度ばかりが注目されがちですが、骨質も大きく影響しています。骨質は骨の構造と構成する材料によって高まります。これを鉄筋コンクリートにたとえると、鉄筋が骨質、コンクリートが骨密度と考えることができます。

その骨質に関わるのはタンパク質で、中でもコラーゲンが大きく影響しています。コラーゲンが充分にあって、ぎっしりと詰まった状態であれば、その間にカルシウムやマグネシウム、リンといった骨に必要なミネラルを詰めていくことができます。

糖尿病では骨質の劣化があり、骨質が低下すると骨折になりやすいという特徴があります。

骨の検査では骨密度が一般的に測定されています。糖尿病では骨密度が低下しやすいものの、カルシウムの摂取、カルシウムを骨に定着させる役割をするビタミンDを摂取しても改善しないことも多くなっています。

骨質を向上させるためには、インスリンの分泌を高めることが重要で、ただ糖質制限によって血糖値が下がっていればよいということではないのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕