骨は硬いものというイメージがあるために、あまり変化しないものだと思われがちです。骨は全身の骨格を形成して、姿勢を保ち、行動を支える重要な機能を持っていますが、それと同時にカルシウムの重要な貯蔵庫の役割もしています。
骨はカルシウムのほかにマグネシウム、リンなどのミネラルを貯蔵しています。人間をはじめとした動物の骨は、海の中のミネラルを保持しているといわれます。というのは、海で暮らしていた魚は、カルシウムなどのミネラルは海水中に豊富にあるので、体内に多くの量を保持しておく必要はありません。
しかし、陸上に上がった動物は、いつでも海の中のようにミネラルを摂ることができない状態になったことから、骨の中にミネラルを蓄えるようになったというのが、骨がカルシウム貯蔵庫となっていることの説明です。
カルシウムは全身のミネラルとイオンの調節をするための重要な成分であり、神経伝達物質でもあります。このほかに多くの機能があるために、常に一定の濃度を確保しておく必要があります。
そのために、カルシウムの濃度が低下したときには、骨に貯蔵してあるカルシウムを分解して血液中に出す仕組みとなっています。
血液中に出すためには、骨のカルシウムを分解しなければなりません。その働きをしているのが破骨細胞です。破骨細胞は、しっかりと結合したカルシウムを毎日少しずつ壊しています。その反対に、カルシウムを骨に定着させる働きをしているのが骨芽(増骨)細胞です。
骨芽細胞の活動は成長期をピークに徐々に低下していきます。それに対して破骨細胞は一定の働きをしています。50代ころから骨芽細胞の働きよりも破骨細胞の働きのほうが上回るようになります。それまでに骨にカルシウムを多く溜め込んでいれば、骨密度が急激に下がるようなことはありません。
ところが、カルシウムの摂取量が少なかったり、運動が足りないと骨密度が低下して、悪くすると骨粗鬆症にまで進むようになります。運動をして、骨が強い刺激を受けていると骨芽細胞の活動が活発になっていきます。
骨の中のカルシウムの量は、カルシウムの摂取量だけでなく、運動量も影響していたのです。
〔日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人〕