食品に含まれるコレステロールは腸壁から吸収されて血液中に入ります。血液中のコレステロール量が多いと、活性酸素によって酸化して、これを白血球のマクロファージが取り込んで処理することによって血管壁に入り込み、動脈硬化の原因となることが確認されています。コレステロールは動物性食品に多く含まれていますが、コレステロールの吸収率は50%ほどとなっています。
コレステロールが多く含まれる食品は「日本人の食事摂取基準」の2010年版までは上限値が定められていますが、2015年版ではコレステロールと動脈硬化の因果関係が明らかでないとして上限値は撤廃されました。今も撤廃されているのですが、動脈硬化のリスクが高い人だけは目標値を設けることとなり、2020年版に掲載されています。
腸壁からコレステロールの吸収を抑制する成分としては、オレイン酸とプーアール茶があげられます。
オレイン酸はオリーブ油、菜種油(キャノーラ油)、綿実油などに含まれる一価不飽和脂肪酸で、n‐9系に分類されます。地中海周辺の国々で脂肪の摂取量が多いにも関わらず心臓疾患による死亡率が低いのはオレイン酸の多いオリーブ油を摂っているからだといわれています。善玉コレステロールと呼ばれるHDL(高比重リポ蛋白)を低下させずに、悪玉コレステロールと呼ばれるLDL(低比重リポ蛋白)を低下させるため、動脈硬化を予防する作用があります。体内で酸化されにくく、有害な過酸化脂質を作りにくい特徴があります。また、胃酸の分泌抑制、乳化作用による排泄物の軟化による便通の促進の効果もあります。
プーアール茶は中国雲南省の高地に育成するツバキ科ツバキ属の樹木の茶葉から作られる後発酵茶の黒茶の一種です。プーアール茶(普洱茶)は北京語で、広東語ではポーレイ茶と呼ばれます。茶葉自体は緑茶と同じツバキ科の植物の葉で、黒麹菌を用いて長期間熟成させるもので、中性脂肪値やLDLコレステロール値の低下、抗酸化などの作用があります。