コロナ禍で病院の事業売却がなくなった

コロナ禍で売り上げが激減して会社をやめなければならなくなったという苦しい状況になったところがある一方で、利益が上がって事業売却のつもりだったのが継続できるようになったというところもあります。その後者の例として、医療機関があります。東京にいたときに医学系の学会と関わってきたことから、医療機関の売却や譲渡先を探してほしいという依頼があったり、それとは逆に医療機関を買いたいという依頼もあり、マッチングをさせてきたことがあります。
それを本業としているわけではなかったので、うまくいったときには医療機関の広報などをさせてもらっていました。この紹介は岡山に移住してからも、依頼があるたびに手がけてきたのですが、有名な企業の傘下の病院が、患者数の減少で売りたいということになり、たまたま知り合いが中国からの医療ツーリズムの受け入れ先として買いたいということがあって、マッチさせることができました。
いよいよ契約というときに起こったのが新型コロナウイルス感染症で、海外からの医療ツーリズムが激減して、買えないということになりました。となると買ってもらえると思っていた病院から他のところを紹介してほしいとの矢の催促があったのですが、急に途絶えました。その理由は、ベッドを感染症対策に空けておくだけで稼げるようになったから、ということでした。
新型コロナウイルス感染症が蔓延したときに備えて、ベッドを空けておくだけで補助金が出るので、確かに病棟ごと空いているような状態であった病院にとっては絶好の機会でした。新型コロナウイルス感染症患者の受け入れをするには、これまで通ってきていた外来患者を制限するようなことをしなければならないのですが、もともと患者数が少なくて困っていたくらいだったので、そこは簡単に切り替えることができました。
いわゆる幽霊病床ということになるのですが、第5波が収まったときに、先々を見越して再び買ってくれるところはないかという話があったものの、第6波になってから急に連絡がなくなりました。こんなところを相手にするのは、正しいことではないということで、医療機関の事業売却の話があっても、一切動かないことにしました。
(日本メディカルダイエット支援機構 理事長:小林正人)