今でこそサプリメントは、不足する栄養素を補うものとして信用されて、食生活が乱れがちな人に多用されるようになっています。しかし、今から20年ほど前にはサプリメントは医薬品と比べられることがあって、あまり信用されるような存在ではなかったのは事実です。ところが、過去には医薬品であったものがサプリメントとして許可されているという話をすると、急に聞いている人の目が違ってくることがあります。
一般によく知られているのは代謝促進成分のコエンザイムQ10、L‐カルニチン、α‐リポ酸の3種類です。なぜ、よく知られているのかというと、私たちも含めてですが、サプリメント関係者が盛んに普及に努めてきたからです。この3成分は、どれも以前は医薬品でした。それが厚生労働省の食薬区分の変更があり、2001年にコエンザイムQ10が、2002年にL‐カルニチンが、2004年にα‐リポ酸が食品成分としても使用が許可されて、サプリメントにも使われるようになりました。
サプリメントは法律上では、あくまで食品に分類されていますが、実は日本では医薬品であった時代がありました。アメリカでは食品の成分を抽出、凝縮したサプリメントは食品として許可されていて、これを日本にも販売するようにアメリカから規制緩和、市場開放の強い要求がありました。それに応えて、規制緩和と販売解禁が閣議決定されたのは1996年のことです。
しかし、これは今のサプリメントでイメージされるビタミン、ミネラルではなくて、ハーブでもありませんでした。というのは、ビタミンが厚生省(現在の厚生労働省)によって食品として販売許可されたのは1997年、ハーブが食品として販売許可されたのは1998年、そしてミネラル(12種類)が食品として販売許可されたのは1999年のことだからです。
それまではビタミン、ミネラル、ハーブは医薬品としてしか販売することができなかったわけで、この規制緩和によって市場が大きく広がり、それ以降にビタミン、ミネラル、ハーブを使うようになった人は、医薬品だったということを知らなくても仕方がないのです。