サプリメントは不足している栄養を補うためのもので、サプリメント(supplement)には補充、補助、補完といった意味があります。単に不足するものを補うという意味であって、多くの人がイメージするサプリメントのことを指す言葉ではありません。日本人がサプリメントと考えているものは、アメリカではダイエタリーサプリメント(dietary supplement)と呼ばれています。dietaryは食物のことで、日本人がイメージするダイエット(diet)とは意味合いが違っています。
栄養の不足、偏りを補うためのものということでは、正しくはダイエタリーサプリメントと言わなければならないところでしょうが、日本人は何でも略すところがあり、サプリメントといえばダイエタリーサプリメントのことだと理解して、わざと略しているのだろうと思うところです。
略して使われているサプリメントは食品であって、医薬品ではないので法律(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)によって、医薬品的な効能効果(治った、効いた)だけでなく、用法容量(いつ、どれくらいを摂るか)も表示することができません。そのため、「1日に◯粒」といった摂取目安表示がされているだけです。その表示を見ると、1日に1回だけ、好きなタイミングで摂ればよいのだろうと思ってしまうかもしれませんが、サプリメント成分の中には1日に1回だけでは充分な効果が得られないものもあります。
その代表的なものといえば、ビタミンB群のビタミンB₆とビタミンB₁₂です。ビタミンB群は細胞のミトコンドリアの中で行われているエネルギー代謝に必要で、ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂がセットで充分に足りていることで細胞を働かせるためのエネルギーが作り出されます。ビタミンB群は水溶性なので、長く体内に保持しておくことができません。ビタミンB₁とビタミンB₂は24時間ほど保持されるので、1日に1回だけの摂取で足ります。ところが、ビタミンB₆とビタミンB₁₂は12時間ほどしか保持されないので、朝と夕方というように時間をあけて2回は摂らなければならないのです。
朝食と夕食でビタミンB₆とビタミンB₁₂が摂れていれば問題はないとしても、食事で不足する、朝食を抜いているという人は、サプリメントで摂る必要が出てきます。
ビタミンB₁、ビタミンB₂、ビタミンB₆、ビタミンB₁₂については、このサイトの「サプリメント事典」を参照してください。