高血圧であっても、血圧が徐々に上がっているときには、これといった症状はみられません。高血圧であるからといって、それだけで死につながるようなことはないものの、高血圧は、さまざまな病気を引き起こす原因となっています。
高血圧になると血管が硬くなり、血管の内径が狭くなる動脈硬化になりやすく、心疾患(狭心症、心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳出血、脳梗塞など)の危険因子となります。そのため、高血圧は「サイレントキラー」(静かなる殺人者)とも呼ばれています。
糖尿病の人は血液中のブドウ糖濃度が高くなった影響を受けて血管がもろくなっているために、高血圧によって腎臓疾患や眼底出血などを引き起こすことが知られています。高血圧の人が糖尿病になると動脈硬化の危険性が2倍以上になるという報告もあります。
塩分によって血圧が上がる食塩感受性が高いタイプの人は高血圧の原因の30%ほどと言われています。食塩感受性が高くない人は、食塩(ナトリウム)を多く摂っても、それほど血圧が上昇しない特徴があります。
血圧を上げる要因としては、塩分の摂りすぎのほかに、加齢(男性は60歳以上、女性は65歳以上)、喫煙、ストレス、食べすぎ、肥満、運動不足、過度のアルコール摂取、寝不足、疲労、糖尿病、動脈硬化、寒さ、温度の急変、排便時の力み、遺伝的な体質、タイプA型行動パターンと呼ばれる性格などがあげられます。
タイプA型行動パターンは、せっかち、怒りっぽい、競争心が強い、積極的などの行動パターンで、ストレスを抱え込みやすく、血圧も上がりやすいことが指摘されています。
高血圧の体質は遺伝すると言われていて、一般には両親ともに高血圧ではない場合には子どもが高血圧になる確率は5%ほどですが、両親のうち片方が高血圧なら約4分の1、両親ともに高血圧なら約2分の1が高血圧になるといわれています。
また、親が塩辛い味付けを好む場合には、食事の味付けが濃い傾向があり、その食習慣が受け継がれた結果とみることもできます。外食のときに味を確かめずに塩や醤油、ソースをかける人は食塩を1日に約20g、味を確認してからかける人は約12g、そして調理の味付けのみで食べている人は約6gを摂っているという報告があります。
高血圧は病気によって高まる傾向があるものの、高血圧の約90%は本態性高血圧と呼ばれるもので、原因となる病気が見当たらないのに血圧が上がっています。特徴的な症状がないために血圧測定で発見されることが多くなっています。
本態性高血圧は、要因が一つではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。本態性高血圧で最も影響を受けるのは遺伝で、片親が高血圧だと50%ほどに、両親ともに高血圧だと70%ほどの人に高血圧が現れるといわれています。
〔サプリメントデザイン推進機構 小林正人〕