サプリ概論1 サプリメントの定義1

サプリメントと健康食品は、用語が混同して使われているところがあります。以前は英語のサプリメント(Supplement)を健康食品と訳しても問題はなかったのですが、今は制度の変更によって、そのまま健康食品と訳すと間違いにもなりかねません。
サプリメントは、アメリカの「ダイエタリー・サプリメント」(Dietary Supplement)を略したもので、栄養補助食品、健康補助食品を指しています。Supplementには追加や補助、補足、補充、補完の意味があります。Dietaryは「食物の〜」と表す言葉で、この2つを組み合わせたDietary Supplementは「日常の食生活では不足する栄養成分を補うもの」とされています。
DietaryはDiet(ダイエット)と混同されて、ダイエットのためのサプリメントと勘違いされることがありました。ダイエットには、やせるという意味はありません。Dietは、もともと方針、作戦、戦略、政策を意味する言葉で、国の政策を決定する国会は英語ではThe Dietといいます。正しい方針に基づいて、正しい生活を実践することがDietであり、そこから食事療法を指す言葉として使われ、さらに運動療法、健康のために実践するべきことと意味合いが広がっていきました。健康の維持・増進のためにDietary Supplementを使うことも健康を目的としたDietの一つとなります。
アメリカではダイエタリー・サプリメントは1994年に施行されたDSHEA法(栄養補助食品健康教育法:Dietary Supplement Health and Education Act)によって、「ハーブ、ビタミン、ミネラル、アミノ酸等の植物由来成分等のいずれかを含む栄養補給のための製品」と定義されています。その形状は、錠剤、カプセル、粉末、液状など、通常の食べ物とは異なる形のものとされています。
アメリカでは、食事の量が多い人が代謝を高めてエネルギー消費量を増やすことも、運動をする時間が短いほか、運動強度が足りないために望むような運動の効果が得られない人が、運動効果を高めることもダイエタリー・サプリメントに求められています。また、免疫を高めたり、痛みの軽減、血流の促進、活性酸素の消去、生活習慣病の予防といった自分が望む結果を導き出すために、選択的に使われています。
その傾向は日本においても同様ですが、サプリメントは健康食品、健康補助食品、栄養補助食品とも呼ばれていて、サプリメントは医薬品とは異なって法制化されていません。法律上の定義もなく、厚生労働省や消費者庁などの通知では「いわゆる健康食品」とされてきました。一般には、健康食品は普通の食品よりも「健康によいと称して販売されている食品」を指しています。
こういった健康機能の研究の進展によって、サプリメントは厚生労働省・消費者庁によって保健機能食品の制度が設けられ、特定保健用食品、機能性表示食品、栄養機能食品が一定の範囲で機能性を表示して販売できるようになっています。そのうち栄養機能食品が不足する栄養素を補うために使われるサプリメントと認識されています。