水溶性ビタミンは体内に長期間保持されないことから、毎日摂取しなければならないという手間はあるものの、多く摂りすぎたときに体内に多く蓄積されすぎて過剰症が起こることを心配する必要はありません。
それに対して、脂溶性ビタミンは体内に蓄積されている脂肪に溶ける形で体内に多く残ります。そのために一定量が補給されていれば不足することはありません。その一方で、多くの量が蓄積されすぎることによって過剰症が起こる恐れがあります。
肥満と指摘されるほど太っている人では、過剰症が起こりやすくなっていますが、女性は体脂肪量が多いので、それだけ蓄積する部分が多いことから過剰症が起こりやすくなっています。そして、蓄積される部分が多いということで、過剰摂取を続けていると健康被害が出やすいということになります。
脂溶性ビタミンは、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKの4種類です。過剰症としては、ビタミンAでは頭痛が特徴的に起こりますが、急性の過剰症として脳脊髄液圧の上昇があり、慢性的な過剰症としては頭蓋内圧亢進症、皮膚の剥げ落ち、口唇炎、脱毛症、食欲不振、筋肉痛などの症状があげられます。
ビタミンDでは高カルシウム血症が起こり、血管壁や腎臓、心筋、肺などに多量のカルシウムが沈着します。そのために腎機能障害や食欲不振、嘔吐、神経の興奮性の亢進などの症状が起こります。
ビタミンEでは過剰摂取によって血液がサラサラになりすぎて出血が止まらなくなることがあるものの、摂取量の3分の3ほどが便として排出されるので、過剰症は比較的起こりにくいとされています。しかし、過剰摂取によって骨量が減り、骨粗鬆症のリスクが高まることが指摘されています。
ビタミンKでは、これ以上は摂取してはいけないという耐容上限量は定められていません。これはカルシウムを骨に吸着させる働きがあって、多く摂取してもカルシウム不足の現状では吸着に使われて、過剰になることはないからです。