サプリ概論111 脂肪の吸収阻害ではなく代謝促進を目指す

健康食品成分の中には、食事で摂取した脂肪に関係するものが多くあります。脂肪が多く含まれたものを食べても、吸収されないようにしようというもので、そのために使われるのは脂肪分解抑制作用と脂肪吸収抑制作用がある素材です。
食品に含まれる脂肪は、中性脂肪という脂肪酸3個をグリセロール(油脂の構成成分)が結びつけた構造となっています。中性脂肪は胃から分泌される脂肪分解酵素のリパーゼによって一つずつの脂肪酸となって、小腸から吸収されます。中性脂肪が分解されなければ脂肪酸は吸収されなくなるので、その分解を抑えようというわけです。脂肪分解を抑制する素材は難消化性デキストリンです。
脂肪吸収抑制に使われる素材には脂肪を吸着する作用があるものが一つで、脂肪の結合を大きなサイズにして、小腸からの吸収を抑制するのはキチン・キトサンです。水溶性食物繊維には胃の中で水分を吸って粘度が高まり、胃の中にある成分を取り込んで吸着する作用があります。この作用は難消化性デキストリンにもあるのですが、中性脂肪を吸着する作用が強いものとしてはチアシードが知られています。チアシードの水溶性食物繊維は全体の34%もあり、水分を吸うと約14倍にも膨らみます。
このような脂肪分解と脂肪吸収を抑制する成分を摂れば、脂肪が含まれた食品を食べた割には脂肪の吸収量を減らすことができますが、それはすすめられる方法ではありません。望ましいのは、体内に取り込んだ脂肪酸を代謝によってエネルギー化させることで、細胞の中のミトコンドリアで作り出されたエネルギー物質は身体を動かすための重要なエネルギー源となります。エネルギー源はエネルギーとして使うことが重要であるとの認識から、どうしても脂肪の吸収を抑えなければならない人以外にはすすめていません。