サプリ概論119 免疫向上の有効成分は細胞膜を破壊して抽出

健康食品の中でも免疫を高めるものとして使われる素材はキノコです。キノコにはβ–グルカンが含まれています。β–グルカンは糖類(ブドウ糖)が多く集まった多糖類で、主に含まれているのは細胞壁です。キノコは軟らかいものなので、普通に噛むことで細胞膜は破壊されて、簡単に成分が散り出されるように思われがちです、しかし、キノコを刻んで細かくしても、抽出されるのは中身の成分であって、肝心のβ–グルカンは細胞膜の中からは出てくれません。
以前は煮ることによってβ–グルカンが抽出されると思われ、キノコを煮るだけで有効成分が取り出せると思われていたこともあります。それでは抽出が不可能であることがわかり、細胞膜を破壊してサプリメント素材としてのβ–グルカンを抽出する加工法が開発されました。一つは圧力をかけることで、高圧で細胞膜を破壊することができます。もう一つは発酵による方法で、微生物が細胞膜を餌として取り込むことによって細胞膜の中に含まれるβ–グルカンを取り出すことができます。
食用としてのキノコの中に含まれているβ–グルカンを取り出すために使われているのは凍結させる方法です。キノコを冷凍すると細胞膜が破壊されます。この冷凍したキノコを常温で置いておくと破壊された細胞膜の中からβ–グルカンが出てきます。冷凍したキノコを煮物として使うと、おいしい出汁(だし)を出すことができます。これは細胞膜に含まれた旨味成分が出てきたからで、その中にはβ–グルカンも含まれています。
キノコを素材とした健康食品の中にはダイエット用もあり、キノコキトサンが有名です。この多糖類には、脂肪細胞を刺激して、中に蓄積された中性脂肪を分解して、血液中に放出させる作用があります。脂肪細胞の中の中性脂肪の分解は、通常は運動をしてアドレナリンが分泌されて、そのアドレナリンによって起こるのが通常の作用です。運動をしなくても脂肪分解を進めることが確認されているのはキノコキトサンだけです。