「羊肉は太らない」と言われて、人気になったことがあります。それは羊肉に多く含まれているL‐カルニチンの量が関係していました。L‐カルニチンは細胞のミトコンドリアの膜を脂肪酸が通過するときに必要となるため、エネルギー代謝を高めて、そのために太りにくいというのが人気の理由でした。
これは事実であっても、羊肉には脂肪が多く含まれていて、食べ過ぎればエネルギー源の摂りすぎになってしまいます。ミトコンドリアに多く脂肪酸が取り込まれても、運動や活動によってエネルギー化させなければ、太ることにもなります。それなのに羊肉ブームのときには、「ラム肉を食べるとやせる」ということまで言われました。
L‐カルニチンの量を肉類100gあたりで比較すると、マトン肉は208mg、ラム肉は80mg、牛肉(ヒレ肉)は60mg、豚肉は35mg、鶏肉は部位によって大きな違いがあって4〜9mgとなっています。
同じ羊肉であっても、ラムは生後1年未満の子羊肉で、マトンは生後2〜7年の羊肉です。マトンは独特のにおいと味があって、肉質も硬めであることから、人気の羊肉はラム肉のほうでした。しかし、L‐カルニチンの含有量が2倍以上も違っています。ラム肉でも牛肉よりも多いとはいっても、マトン肉に比べると3倍以上の違いです。
L‐カルニチンが多いといっても、マトン肉ばかりを食べているわけにはいきません。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)によれば、脂肪の摂取は全エネルギー量の20〜30%とされ、そのうち飽和脂肪酸の割合は7%以下にすることが求められています。飽和脂肪酸が多い肉を食べすぎないように求められている時代に、L‐カルニチンをサプリメントとして摂ることがすすめられる理由となっています。