サプリ概論180 特定商取引法による合理的な根拠の判断基準

1)基本的な考え方
合理的根拠を示すものと認められるためには、次の2つの要件を満たす必要があります。
(1)提出資料が客観的に実施された内容のものであること
(2)勧誘に際して告げられた、または広告において表示された性能、効果、利益等と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること
2)客観的な実証
提出資料は、客観的に実証された内容のものである必要があります、客観的に実証されたものとは、次のいずれかに該当するものです。
(1)試験・調査によって得られた結果
(2)専門家、専門家団体もしくは専門機関の見解または学術文献
自社の従業員、その家族など販売・提供する商品・役務に理解関係を有する者の体験談を収集して行う調査は、サンプルの抽出過程において作為的な要素を含み、自社に都合のよい結果となりがちであることから、統計的に客観性が確保されたものとはいえません。そのため、客観的に実証されたものとは認められません。
また、積極的に体験談を送付してくる利用者は、一般に商品の特性、役務の効果などに著しく心理的な感銘を受けていることが予測されることから、主観的な意見となりがちです。体験談を送付しなかった利用者の意見を調査することなく、一部の利用者から寄せられた体験談だけをサンプル母体とする調査は、無作為なサンプル抽出がなされた統計的に客観性が確保されたものとはいえず、客観的に実証されたものとは認められません。
広い地域で販売する商品については、一部の地域で少数のモニターを選定して行った統計調査は、サンプル数が不十分であり、これも客観的に実証されたものとは認められません。
3)資料の提出期限
合理的な根拠を示す資料は文書で提出する必要があります。その資料は資料提出が求められてから15日後と定められています。
提出資料として新たに試験・調査を行うこと、追加的に試験・調査を実施することは認められていません。合理的な根拠を示す資料は、販売する段階では、すべてが整えられている必要があるということです。