ケルセチンは玉ねぎの皮から抽出される成分としていられていて、機能性表示食品にも特定保健用食品にも素材として使われています。特定保健用食品では、落葉高木の槐(えんじゅ)の花の蕾から採られたケルセチン配糖体が使われています。このケルセチン配糖体の量は、玉ねぎ3個分のポリフェノールに相当するとされています。
ケルセチンというと、これまでは抗酸化作用、抗炎症作用、血圧低下作用などが知られていましたが、研究内容を見ると、ケルセチン配糖体が使われた緑茶飲料を1日1本(500ml)飲み続けたところ、8週目から腹部の体脂肪の低減が認められたと報告されています。
この体脂肪というのは、CTスキャンによって腹部全脂肪面積変化量を調べたもので、被験者198人を2つに分けて、ケルセチン配糖体が含まれた飲料を飲んだ98人(男性36人、女性53人)と含まれていないものを飲んだ98人で比較が行われました。
被験者のBMI(体格指数)は25〜30の軽度肥満の20〜65歳の方で、それ以上の肥満の人では試験はされていないものの、メカニズムからすると期間は別にしても、効果が期待されます。
ケルセチン配糖体には脂肪分解酵素のリパーゼを活性化させて、脂肪細胞の中に蓄積されている中性脂肪が脂肪酸に分解されるのを促進させる作用が認められています。脂肪酸は筋肉をはじめとした全身の細胞に運ばれ、細胞の中のミトコンドリアでエネルギー化されています。
ケルセチンそのものは水に溶けにくく、吸収されにくい難点がありますが、ケルセチンと糖が結合したケルセチン配糖体になると水に溶ける作用(水溶性)が高まります。その特性を活用して開発された特定保健用食品ということです。